E.B.Nash ナッシュマテリアメディカ
マイルド(温厚)、穏やか、従属的傾向、悲しみと意気消沈、簡単に泣く、薄茶色の髪、青い目、青白い顔、筋肉が柔らかく、たるんでいる。
変わりやすいレメディ。痛みはある関節から別の関節へ。出血し、止まり、また流れる。同じような便は2度とはなく、同じような寒気も二度となく、ケースの頭も尻尾もなくミックスされている。
口に嫌な味。朝ひどく渇きとともに悪化、けれども喉は渇かない。
胃は簡単に乱される。特にケーキ、ペーストリー(パン菓子類)、あるいは脂っこい食物
粘膜からどろっとして、刺激のない分泌物。
月経が遅すぎ、量は少ないか抑圧される, 特に足が濡れる事により。
モダリティ:
悪化; 温かい部屋で悪化、温かい物で悪化、鉄の濫用、痛みを伴う寒気、
好転; 冷たい外気、ゆっくり歩き回る、冷たい食べ物か飲み物、きつく包帯を巻かれる事で頭痛が好転
コンスタントな寒気を伴う痛み。痛みがよりひどくなると、寒気もひどくなる。
(cham.はおびただしい汗を伴う、Hepar sulphは気絶を伴う、 Thujaは排尿を伴う、Verat albはせん妄を伴う)
Puls.の性質はNux vomicaのとほぼ反対である。Nux vomicaは男性のレメディ、Puls.は女性のレメディと呼ばれる。これはNux vomica の症状が、しばしば男性に見られ、一方、Pulsatillaの症状がしばしば女性に見られる事を意味する。
ここでヘリングの他の特徴に注意を向けよう。ヘリング以外、もっとうまく表現できる人がいなかった事である。
「優しく、穏やかで、従属性がある。何にでも泣く;泣いて落胆する、あらゆる事に泣いて悲しむ。泣き悲しむために症状を私たちに教える事はほとんどできない。薄茶色の髪の毛。青い目。青白い顔。従順さに対して静かに悲しみたい。」(silicaはこの慢性)
Puls.の気質を、出来るだけ近い形で言葉にした表現で、患者にこれが見出された時、どのような病的状態であっても、Puls.はほとんど確実に有効となるであろう。ほとんど例外はない。病理学的状態に重きを置きすぎて、総体的症状の状態を無視する事のないように学ぶ。
Puls.は作用範囲が広いレメディである。ファリントンは、73の異なる疾患に作用し、どのような手段によっても、消耗されないと述べた; ヒュージの薬力学のPulsatillaを学べば、それに気がつくだろう。ファリントンは多くの病気に推薦しているけれど、特に他の多くのレメディに関し行っているようなプルービングの病理学的立場から、ファリントンが言うほど多くのものに使っていないし、明らかに使えない。閉鎖的な病理学、あるいは総体的症状学として、提出する事を請け負うのは愚かであると感じられる。
病理学も総体的症状学も両者価値があり、分離不可能なものであり、どちらも拒絶され得ない。病理学は医師が言える何か、総体的症状学は患者が言えるものである。
特徴的と考えられる、またヘリングが述べていないPulsatillaの他の状態もある。すなわち、症状の変わりやすい性質(IGNAT. NUX MOSCH.)
ヘリングが言ったのは、
「遊走性の痛みで、1つの部分から他の部分へ素早く動く、関節の腫れと明さも同じである」
という事である。 もしこれがリウマチに起こるなら(MANGANUM ACET. LAC CANINUM, KALI BICHROM. KALMIA LOT.) 、もし特にPulsatilla気質なら、このレメディで奇跡的な治癒を果たすだろう。しかし、この移り変わり、変わりやすさは痛みに限られておらず、リウマチであろうと神経痛であろうと、この傾向は見られる。患者はイライラし、次に再度涙ぐんだり、温厚、快活になる ; けれど、イライラしている時でさえ、用意に泣かされる。血が流れ、止まり、また流れる; 継続的に変わる。 下痢の便は、色が継続的に変化する; 緑、黄色、白、水様、あるいは粘液性の便; Guernseyが表現するように、「2つとして似たような便はない」
(SANICULA) これはしばしば、コレラ ― 小児の、または腸の― 暑い天候における子供の大腸炎で見られる。
患者がオフィスへ入ってきて、ケースをとろうとすると、「話に頭も尾もない」事が分かる。色々混ざっている。苦しみと痛みが今はあっちだったり、次はこっちだったり。症状は、私たちが呼ぶように「矛盾した」ものである。この状態は常にPulsatillaだと念を押し、ケースをクリアにし、治癒する。
Ignatiaもまた、これらの絶えず推移する、 ヒステリー性の、矛盾する症状を持ち、PulsatillaもIgnatiaも女性の卓越したレメディである。
Nux vomicaのようなPulsatillaは、消化障害の非常に良いレメディである。症状―
「口の中で嫌な味、特に早朝。または何も良い味がしない、または全く味がしない」
(Bryoniaは、舌が覆われて嫌な味がし、喉が渇く; Pulsatillaは喉の渇きがない)
「朝、口が非常に乾燥しているが、喉の渇きがない。ケーキ、ペーストリー(パン菓子類)、脂っこい食べ物から胃の不調 ; 特に脂肪の多い豚肉。」( 脂肪の多い肉は一般的だと言えるだろう) これらは、ヘリングも示している通り、信頼できる症状で、Nux vomicaの症状とはあまり似ていない。Nux vomicaは脂肪分では乱されず、反対にそれらを好み、性に合う。Nux vomicaは温かい食べ物が最も性似合う; Pulsatillaは冷たい物。
口の中の嫌な味は持続的で、味覚の喪失は、臭覚の喪失同様、頻繁にある。Pulsatillaが口が乾燥し、喉が乾かない特徴がある一方で、Mercuriusは特徴的に、口に湿り気があり、異常に喉が渇く。味が分からない。
これに関し、十分な病理学的理由を示せるか分からない。患者の治癒のために使用できる以前に、私たちがこういった症状について病理的説明をする必要がないというのは、良いことではない。確認のために、これらには常に理由が必要である。しかし、私たちはその症状を利用できる以前に、それが何であるかを知る必要はない。
処方においてNux vomicaの症状をPulsatillaの症状と、初心者もほとんど間違えなかったし、これらのレメディを交互に、2・3時間置きに処方する治療家も知っている。
粘膜に覆われた消化器へのPulsatillaの作用は注意を要する。私たちは、Pulsatillaは一般的に、粘液表面に特有な作用があるのだと告知したい。この独自性は粘液からの分泌物の特徴にある。分泌物は濃く、刺激がなく、黄色がかった緑である。鼻カタルに見られるようなものだ; 帯下 ; 痰; 淋病; 潰瘍において; 耳と目から; 要するに、体の出口からの粘液は全てという事だ。
Pulsatillaの痰は、濃く、緑色で刺激性がなく、苦い味がする。
一方Stannumの痰は、甘く、Kali hydroiodicumとSepiaは塩気がある。シュスラー塩の1つのレメディ(Kali sulphuricum)は、分泌物の特徴において非常にPulsatillaと似ているし、そればかりではなく、痛みの遊走性、夕方悪化する、冷たい外気で好転する事も似ている。
Kali hydroiodicumも外気で好転し、温かい部屋で悪化する。私たちが今主題としている緑色の分泌、特に痰は、Carbo veg. Lycopodium、Paris、Phosphorus、Sulphurについても述べる事だが、その他の症状は、共通の1つの症状を持ついくつかのレメディの間で決めなければならない。
ニューヨーク州アルバニーのある医師が、いわゆる肺結核と呼ばれるケースのコンサルテーションで呼ばれた。そのケースはアロパシーの医師の手中にあった。ケースを丹念に診た後、医師は「あなたの診断は?」と聞かれると、「Stannumスズ」と答えた。「何!」「Stannumスズ」、医師は答えた。Stannumはレメディの見立てであり、病気ではない。Stannumが処方され、患者を治癒した。
さて、私たちは女性生殖器への疾患におけるPulsatillaの治癒的作用に至る。Pulsatillaの女性的作用に加え、Pulsatillaは女性生殖器に明確な作用があるという事実が、性質と気質にまとめたようにPulsatillaが女性のレメディと呼ばれる追加的理由である。
「月経が非常に遅く、少ないか抑圧されている、特に足が濡れる事で」、また「月経期間中、非常に落ち着かず、可能な限りあらゆる方向に体をあちこち動かす」、また、既に述べたように、月経の出血が変わりやすい特徴がある、例えば、止まって、流れ、止まって、また流れるなどである。月経過多もある。
これらのPulsatillaの月経期間のトラブルにおいて、足を濡らす事、足を冷やす事は最も主要な重要な事で、そのような事に患者をさらした結果の患者の体力の消耗を守ったり、抑制するかもしれない。Pulsatillaのマザーティンクチャー(母液)を10ドーズを単位として注いではいけない。それは、活性化されたレメディを信じない人たちのやり方である。Pulsatillaをより高い、最も高いポテンシーで投与でき、最善の結果が起こるだろう事を確信する。Pulsatillaの気質の若い女性の月経の遅れが、スワンのM.M.や、フィンケのc.M.で、素早く自然に現れた事をしばしば見た。(Kali carbonicum、Tuberculinum、他のレメディでも見られた事がある) 同じ事で、抑圧後、回復したのを見たこともある。月経困難の場合、これらのうちの1つを非常に高いポテンシーを試し、成功しなければ、間違いを犯したという結論に飛びつかない事である。Pulsatillaはそのようなケースで唯一のレメディではないからだ。
ホメオパシーは、その責任が処方家の愚かさにある時、非常にしばしば非難されすぎる。Magnesia phos.は月経時の痛みにおいて、Pulsatillaに比べ、より緩和するし、また万能薬でもない。あなたのケースを調べよ。
しかし結局、この素晴らしいレメディの主要な特徴はモダリティにある。
「冷たい空気の中で、そして冷たいもので好転する」
患者は全体的に戸外、冷たい空気で好転し、温かい、閉じた部屋で悪化するだけでなく、部分的な疾患も同様な事で悪化、好転する。
部分的な疾患とは、例えば、目まい; 頭痛、目の痛み、耳の痛み; まぶたのかゆみ; 喘鳴; 鼻感冒; 顔の痛み; 歯痛; 疝痛; 陣痛;坐骨神経痛; 潰瘍、全て外気で好転する。これらの疾患は冷たい空気で好転し、特に歩いている時、あるいは戸外、または冷たい空気の中をゆっくり動き回っている時(Ferum)好転する。PulsatillaはRhus toxicodendron同様、動くことで好転するが、Pulsatillaは冷たい、または涼しい外気の中でであり、一方、Rhus toxは温かい乾燥した空気の中で動こうとする。
Pulsatillaは温かいものが悪化させ、温かい部屋が苦しめる; ベッドの熱がかゆみを悪化させ(Mercurius)、しもやけを悪化させる; 冷たい飲み物は保持され、温かいものは吐く。
熱からの悪化がある他のレメディがある; しかしPulsatillaは他の全ての先をゆく。冷たい、涼しい、外気での緩和は、Arsenicumにとっての暖かさ、または熱と同じく明確である。
さてPulsatillaの意見を終わるために、特別なコメントなしに、Pulsatillaのいくつかの症状の選択肢を与えよう。
「Iron鉄の濫用の結果生じた疾患」
「はしかのひどい管理に続く慢性的疾患」
「圧迫、または、しっかり(包帯で)巻くと緩和する頭痛」(Argentum nit. Apis mellifica)
「強まる排尿傾向 <横たわる時>」
「睾丸に淋病の転移」
「痛みを伴う寒気、なお冷たい部屋を求める」
「片方の発汗」「炎症した部分が青みがかった」(Lachesis、Tarantula)
「全身を通じ拍動」
「乳房や睾丸におたふく風邪の転移」
これらの局所的疾患全てのケースにおいて、私たちはPulsatillaのマインドとモダリティがある事を期待すべきであり、そうでなければ、素晴らしい治癒を期待すべきでない。
********
誤訳がありましたらお知らせ下さい。