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Ign.Ignatia

James Tyler Kent ケントのマテリアメディカ

Ignatia イグナチア豆

 Ignatiaはよく使われ、特に敏感でデリケートな女性や子供、ヒステリーな女性に適している。Ignatiaで自然なヒステリーは治らないが、優しく敏感で、きめ細かく洗練された教養の高い、感情が高ぶった神経疾患の女性が、ヒステリーのような症状の不調になった場合はIgnatiaで治る。ヒステリー体質は、非常に特異で理解しがたい事だ。感情が高ぶり過剰に興奮した感情的な女性が、自分では説明できない事をする。興奮しておかしくなったかのように行動するだろう。 Ignatia自身は後悔するが、Ignatiaのヒステリー性はいつもそれを喜んでいる。どんなに馬鹿げていても、自分が自慢できる事を見せただけにすぎない。

この女性は家庭不和の中にいる。困惑し興奮し、痙攣を起こし、震えわななく。頭痛のために寝床に着く。病気である。Ignatiaはこの人のレメデイだ。失恋の苦しみがひどい。繊細で神経質な少女が自分の恋愛が見当外れであることがわかり、その男性にふられて泣き続け、頭が痛く、震え、神経質で眠れない;Ignatiaは彼女を哲学的にし、分別をつかせる。子供や夫を亡くした女性。敏感で繊細な女性が、悲しみに暮れている。頭痛がし、震え、興奮し、泣いて眠れない;自制できない。努力にもかかわらず、悲しみは単に彼女をちりじりにする。感情や興奮を制御できない。Ignatiaは彼女を静め、今この時を乗り越えさせるだろう。こういった問題からもたらされ続ける全ての状態において、患者がその事でくよくよ悩み、その原因にこだわり、その状態が再発し続ける時は、Natrum mur. がその症例を終わらせるだろう。Nat-m.が彼女を勇気づけ、苦しみに耐えるようにしてくれる。特に学校で科学や音楽や美術を勉強しすぎたタイプに有効である。 もちろん、非常に敏感な少女が音楽や絵などの芸術に入り込むのは当然だが。長い間音楽に打ち込んで来た娘がパリから帰って来た。彼女は何も手に着かない。自制心を失っている。音がする度に困惑する。夜眠れない。興奮して眠れず震え、痙攣し、筋肉が引きつる;興奮やあらゆる困惑する言葉からから泣き出す。Ignatia はすばらしく彼女の調子を高めるだろう。症例全体を完結させる事もあるだろう。しかし特にこのような過敏な少女達は、非常に一般的に、慢性的なNatrum murである。問題が戻って来て、Ignatiaがもはや制止できない所に来た時、それはIgnatiaが自然に慢性状態になっている。

 IgnatiaとNatrum mur.が非常に接近する事例が他にもある。敏感で過労の少女が音楽や芸術を勉強した後、疲れきり、自分の恋愛をコントロールできない。恋愛は自分が軽蔑する誰かに落ち着く。それは特異な事で、誰も理解できないかもしれない。ある敏感な少女が既婚の男性と恋に落ち、母親以外その事を知らない。夜寝ている時目が覚めてむせび泣き、「お母さん、どうして私はこんな事をしてしまったの。私の心から彼を引き離す事ができないの」と言う。普段男性は全く彼女の眼中になく、敏感すぎて他の事はできず、彼の事ばかり思う。それが最近の事であれば、Ignatiaがその娘の心のバランスをとるだろう。 もしそうでなければ、Natrum mur.がそれに続く。我々は自分で思っているほど人の心の半分も知らない。我々はただその現れを知っているだけなのだ。この小さな事はこの薬の活動の領域に属する。マテリア・メディカ を知っている人は、その奥行きと深さ、類似性にそれを当てはめる。

 Ignatiaは四肢が震える。神経質で臆病に興奮する。「体の衰弱が突然来る。ヒステリーな衰弱と失神。人ごみの中で失神する」。涙もろく神経質で悲しく譲歩しがちな敏感な心に、特に有効である。「震えてピクピクする。ひきつった単収縮」。子供が罰を受けた後、睡眠中にひきつけを起こす。「歯の生え始めの子供のひきつけ。子供の恐怖からの発作」。 Cinaのように子供は冷たく青ざめ、固まってじっと見る。「意識を失ってひきつけを起こす。激しいひきつけ。強直性けいれん。恐怖の後の強直性けいれん。感情的な舞踏病。恐怖か悲しみの後」。舞踏病の少女。感情的なてんかん、或はてんかんのような現れ。麻痺した衰弱。「ひどい知的な感情」。育児;夜警。まるで脳出血から来たように、完全な麻痺を伴う片腕の喪失感。それが2〜3時間過ぎると、腕は以前のようによくなる。それはヒステリー性麻痺である。「どちらか片方の腕のしびれ。腕がうずいたり、チクチク刺すように感じる」。

 Ignatiaは驚きが多い。病気や病理学に通じ、その現れをよく知っておれば、驚くべきか驚かざるべきかが言える。そして何が自然で、何が病気かも言える。Ignatiaでは、何が不自然で何が起こりえない事かが見つかる。炎症を起こした関節や、熱を持ち赤く、ズキズキし、弱い炎症部が見られる;痛むかもしれないという恐怖に対し 大変気をつけて対処する事だろう。痛むだろうと予測するに十分な理由はある。しかしそれは痛くなく、強い圧迫で改善する時もあることがわかるだろう。それは驚く事でないか。喉を覗くと腫れて炎症し赤い;患者は喉が痛いと言う。痛がらせるかもしれないという恐怖から、当然舌圧子で患部を触らないだろう。腫れて固まった物は痛いだろうと思える理由はいくらでもある。だが患者にいつ痛くなるのか尋ねると、「 何か固い物を呑み込まない時に痛む」と言う。痛みは何か固い物を呑み込んだり、圧迫で改善する。別の時には痛いのだ。

 精神面では、患者は最も不可解で意外な事をする。仕事に規則が全くなく、哲学がなく、心の響きがなく、判断がないように見える。期待と全く逆の事が見つかる。患者は痛い方に横たわった方が改善し、痛みが楽になる。「頭の横に釘が刺さったように痛い」。痛い方を下にして横になり、圧迫する事でしか楽にならず、そうする事で痛みがなくなる。

 胃においては消化不良において変っている。ある時 胃に入った物はすべて吐き出すという変わった患者が来た。何日も吐いているので、皆が 餓死してしまうのではと心配していたので 軽い物、少しトーストしたできるだけ簡単な食べ物を試させる。 あれこれ試すが、患者は何も胃におさめない。ついに患者は「コールスローとタマネギのみじん切りだけ食べられる。それでうまく行くと思う。」と言う。ヒステリー状態の胃で、患者はキャベツとタマネギのみじん切りを食べ、それ以降よくなった。普通は消化しにくい物で吐き気が増すよりも むしろ改善するのは変わっている。牛乳とトースト、おいしい物、暖かい物、そのような物を普通取ると、胃が妨害され吐き気を増す。冷たい食べ物を欲しがり、暖かい食べ物が妨害され消化不良を起こし、冷たい食べ物は消化される。

 咳もよく似た特徴がある。刺激が喉に来ると、普通人は咳をする。喉頭と気管がヒリヒリしたり、刺激があったり、くすぐったい感じがあったり、詰まった感じから、或は何かを吐き出したくて咳をし、咳でよくなる。しかしIgnatiaの患者に咽頭や気管に刺激が来たら、また意外な事があるのだ;咳をすればするほど、咳をする刺激が見られ、刺激が非常に大きくなるまで、咳も非常にひどくなり発作が起きる。咳をすればするほど咳の刺激がひどくなるのは、Ignatiaの患者として知られており、汗でびしょぬれになり、びしょぬれになった寝間着を着てベッドで上体を起こし、汗だくで疲労しながら、吐き気がして咳き込み、吐いている。そのような患者の病床に呼ばれたら、待ってはならない。患者に状態の説明を求め続けると、咳を止める事ができないで、ただ咳がもっと激しくなるのが分かる;どんな発作的な咳の誘発も起こす事なく、すぐIgnatiaが咳止める。どんなに小さな動揺からも、精神面の動揺、恐れ、苦悩、苦情が起こり、その若くて敏感な女性は家へ帰ってしまい、ベッドに入り、喉頭の発作が続く。家中に聞こえる喘鳴痙攣である。Ignatiaはそれを即刻止める (Gelsemium, Moschus)。

 神経疾患とあらゆる問題が生理中に来る。心はいつも急ぎ、興奮状態にある。誰も十分速く物事ができないと思う。記憶は信用できない。心はちりじりに飛ぶ。一種の混乱である。頭にきちんと分類してあった物事が、もはや分類できない。自分の音楽も規則も学習法も思い出せない。それらは全て消え、彼女は混乱状態にいる。彼女は精根尽きた神経質な人である。

 それからとっぴな空想がめぐる。鮮明な空想で幻覚のようである。熱はなく、寒気もなく、ただ興奮の後に来る。ある事で感情をひどく害して家へ帰り、それ自体熱で現れるような幻覚が現れる状態に入る。しかし綿密に調べると、それは幻覚ではない。それは心のヒステリー性の興奮であり、その中でバランスを失い、何でも話す。物事のあらゆる様式を見る;ヒステリー性の精神錯乱である、というのは休息後や翌朝にはそれが消えるからだ。しかし一度その呪いが始まると、更に頻繁にやって来て、彼女はその状態になりやすくなり、治療されなければ、彼女は気がおかしくなり、精神衰弱になり、そのために興奮や悲しみ、精神異常が全ていっしょにすべて混じる。これらはまず生理期間に来て、それから少しおいて来るまでは、別の時に来る。「一人になって自分の人生に起きた矛盾について深く考えたがる。座ってすすり泣く。無口な時もあり、再びおしゃべりで多弁になり、独り言を言う」。彼女はほんの少しの間喜んで調和をもたらすが、恐怖状態に入る 。生まれつきのヒステリーには、Ignatiaは役に立たない。しかしヒステリーが上記のような状態からもたらされた場合、Ignatiaが最も役立つ。それはHyoscyamusと双璧である。「絶え間ない恐怖感、或は何かが起こりそうな懸念」。

 これらの精神状態と共に、胃腸が空だという感じがある。空虚と震え。「失恋後の鬱で、背骨の症状を伴う」「たいへん近い人や物を失った大きな悲しみ。手の震えで書くのに非常に障害がある。些細な事を怖がる」。全く何もできない状態に落ち、友だちに手紙を書く事さえできない。

 Ignatiaの患者は間抜けも頭の回転が遅くて馬鹿な人でもなく、過剰な疲れや興奮からそのような状態になった人である。外出し過ぎから。体に弱さがある場合は、過剰な社会的な興奮から来る。現在の社会状態はヒステリーな心を作り出すと思える。常に混乱状態にある精神が社会的には典型である。質問をするが、答えを待たない。かなり多くのレメディにこの状態がある;Ignatiaに見られる知的集中力の欠如は特異な種類の心の集中力の欠乏である。怯え、恐怖、不安、嘆きがこのレメディを貫く。「敏感な気質;超急性」。張りつめた過労。

 Ignatiaには他の事もある;「ある義務を怠ったと思う」。Puls.とHell. Hyos.とよく似ている。Aurumだけは、自分はひどい間違いを犯したと考える。「ある義務を怠ったと思い」、くよくよ考える。「ひどい悲しみの後の鬱」。

 頭痛はたくさんあるが、すべてうっ血性であり、圧迫する頭痛、或は引き裂くような頭痛、或はまるで爪が側頭かこめかみに刺さっているような頭痛;痛みの側に横になる事で改善する。頭痛はすべて熱で改善する。患者は一般的に暖かさで改善し、寒さで悪化する。胃に冷たい物を入れたがり、外から暖めたがる。痙攣性の頭痛、拍動性の頭痛、うっ血性の頭痛。神経質で敏感な気性における頭痛。その神経系が不安や悲しみ、精神活動に移行してしまった人々。「コーヒーやタバコの乱用から、煙を吸入してから、或はタバコやアルコールによる頭痛」。細心の注意を払った事による頭痛。「頭痛は暖かさや休息から改善し、冷たい風や突然頭を回した事で悪化する;便を押し出したり、衝撃、急激、興奮で悪化する」。見上げたり、目を動かしたりすると痛みが増す;音や光で悪化する。 「後頭部の痛み;冷たさで悪化し、外からの熱で改善する。頭痛は食事中よくなるが、その直後悪化する。」

 「視界障害。ジグザグ。視界の混乱」。過敏な目。「刺激性の涙。涙が出る」。

 顔はゆがみ、身を震わせ、蒼白で活気がない。顔の痛み。「顔が激しく引き裂かれるように、裂けるように痛い」。例えば以下のような事が起こると考えられる;前述したようにパリから帰って来た感情が高ぶっている少女の中には、音楽を学び過ぎ、激しい顔面痛があり、顔が痛いか、または他のヒステリー性の痛みがある事がある。激しい頭痛で帰って来る少女もいるだろう;精神状態と混乱で帰って来る者もいる;あらゆるヒステリーの現われで帰って来る者もいるだろう。長引く興奮。ミュージカルのしすぎ。そう、生理痛、卵巣痛、ヒステリー状態、膣や直腸の脱出を伴い、かなり手足が不自由になって帰って来る者もいる。「裂けるような、或は撃たれるような痛みが肛門と膣から上り、臍に向かって体内を上昇する」。

  変わった嫌悪がIgnatiaを貫く。このように敏感な女性が、問題と考え示しているものについて、諸君が何か断定する事は不可能であろう。彼女の合理性や理性に頼る事はできない。できるだけ何も言わない事がベストだろう。あなたが述べた事は何でも歪められている だろうから、約束せず、ただ耳を傾け、物知り顔をし、処方したら旅行カバンを持って帰宅する。 喜ばせる言葉は何もない。

 喉の渇き、それを諸君は期待していないだろう。熱がある時、寒気の間時は喉が渇き、発熱中 喉の渇きは全くない。間欠性の熱に適する。間欠性の熱が見られる興奮して神経質な子供や女性に。
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