Aurum Metallicum 金
Aurumの一般的な特徴は、精神や体の組織などに関連している事である。精神を全体的に眺めると、健康な人にとっての自然な愛情(affections)というものが
全て歪められている事が分かるだろう。人間としての基本的な愛や、自分を守るための自己愛などかなりの範囲における愛情は歪んでいて、生きる事に疲れ、死にたくて自殺を決行する方法を捜している。生への愛がない。愛情は極めて混乱し、知性面が従属的に変化する。もちろん精神錯乱がAurumを貫くが、まず意志が錯乱し、続いて知性が錯乱する;最初に愛情の倒錯として見られる。全てに対する喜びを完全に喪失するようなひどい抑うつ的精神状態に至る様子は驚く。人から希望を奪い去ると、生きる目的がなくなり死にたくなる。これがAurum的な状態である。自責、絶え間ない深い後悔、自己批判、常に内省する;何も正しい事をしていない、何もかもが間違っていて、何もうまく行かない、絶望。
「何もかもうまく行かず、自分がする事は全て間違っているという想像;自分が分裂している」。自分が進む道のあらゆる所に障害が立ちはだかっていると想像する。何かをおろそかにして来たとか、友人をおろそかにして来たと始終想像する。すべき事(義務)をおろそかにして来たのだから責められるにふさわしいと想像する;何かをおろそかにした、自分は間違っている、完全に悪魔だ、罪を犯した自分は恩恵を受けるには遥か遠く、救済に値しない;これは、心を止めどなく走る一連の思考である。思考は真に制御不能になる;内に籠り、座ってくよくよ考え、考え込むとその状態が強くなり新しい不満の種が生まれ、自分自身について憂慮し続け、自分はこの世界に不適合だと思い、死を切望する。Aurumは全ての影の部分(dark
side)を見、悪いニュースを絶えず期待し、全て悪い方向へ進むと考える。将来が暗く感じられ死にたい;手がける事全てが失敗し、決して成功しない。仕事は暗く、家族はやっかいで、友人には悩ませられる;極端にイライラするようになり、怒りっぽくなり、些細な事について心配し、興奮しやすくなる。小さな事がある度に怒り、混乱し、常に腹が立っている。ひどい動揺と憂鬱さのあるAurumの狂気の精神状態は見るのも恐ろしい。Aurumは静かに座って何も言わず、鬱や落ち込んだ非常に深い状態に適する。邪魔されるとひどく激しく怒り、暴力的になる。「憂鬱で、憎しみを感じ、喧嘩早い」「水銀を乱用した後のひどい鬱」。
この精神錯乱状態の原因は、長引く不安や異常な責任感、梅毒、財産の喪失である。水銀を繰り返して使用して来た人は、肝臓肥大を伴う水銀病が確立し、Aurum に見られるように、鬱や悲しみ、失望などがたいてい多少なりとも伴う。
Aurumは心臓疾患や心内膜炎、心臓水腫、心臓に及ぶリウマチ疾患と関連した肝臓疾患を作り出す。精神疾患において愛情が著しく阻害されている場合はいつも、心臓衰弱、心内膜炎、心臓肥大、もしくは心臓の何かの器官や機能的疾患がある事に気づくだろう。君たちは水銀の塗布薬を塗ってきたためにリウマチを引き起こし、心臓にまで影響が起こり、失望感や精神錯乱、愛情の混乱をきたしている患者をよく見かける事だろう。Aurumではその影響は意志から理解力、人間としての知性にまで及ぶようになる。健康状態が良く、事業の世界でも尊敬されている人が、自殺したいと思うのはどういう状態であるか考えよ。また精神が錯乱、衰弱し、知性が弱くなった状態になり、考える事も論じる事も出来なくなっている人に遭遇する事もあるだろう;愛情面は実際的にはそのままであるが、最終的に痴愚の状態に至るか、あるいは野蛮になり衝動から自殺を決行するようになる。
これは知性がまず作用を受け、その影響が意志に広がっていく一例である。時々、この状態に至っても知性には障害が観察されない事もある; 知性はそのまま正常なのである。仕事も盤石で、良き父であり、周囲から聡明であると見られているが、自分の状態と世間への憎悪について静かに考え込み思い詰めている;それを誰に話す事もなく、そして自分の部屋で首をつっているのを発見される。人間の知性は その人を世間(世界)とつなげる;しかし愛情は主にその人を自身に閉じ込める。人は様々なものへ愛情と 歪んだ愛情を持つだろうが、知性が自分の好き嫌いを世間に見せないよう導く。愛情は見えないが、人の知性は検査の対象となる。人は自分の知性を隠す事はできない。愛情は内面的なもので、仮面で覆われており、人間の最も内側にあり検査の目をかいくぐるが;けれど理解というものは最も外側にまとっているものであり、その人の愛情を包み 隠す。それはちょうど体の上にまとった衣服が体を隠すのと同じである。Aurumの愛情とは人間の最も内側にある愛情に似ている。
「悲嘆、失恋、激しい驚き、怒り、否定、屈辱から発症」「痛みで絶望的になり窓から飛び降りたくなる」死や自殺について静かに考える;俗世間から逃げたい、自殺(自害)したい、価値のない自分の人生を愛せない。
Aurumはリウマチが多いが、古い水銀の症例に見られるようなものではない;関節の腫れを伴うリウマチ;軟骨と骨の疾患、骨膜の炎症;骨膜が厚く硬くなる。腺の硬化;関節の周りの軟骨の硬化。これらは梅毒と水銀の特徴すべてを有する。向こうずね、鼻骨、耳骨など、体のあらゆる部分のあらゆる小さな骨が折れる時、古い梅毒に役立つ。梅毒と水銀のように、病状は夜悪化し、夕方に始まり、一晩中続く。痛みは激しく、引き裂かれるようで、骨が折れるのではないかと思えるほどで、急性の熱はないが古い梅毒性の骨の問題がある。骨膜にナイフで切るような痛みがある。骨の痛みで動けない。
カリエス(骨瘍)を伴う骨そのものの炎症。体の組織全体の血管状態に奇妙さがあるAurumにとって、骨と骨膜を覆っている血管が大きな影響を受けるのは不思議でもない。静脈は肥大し、うっ血と炎症を起こし
もろい。静脈(壁)が肥厚し腫脹する。血管が全身で脈動する。「ほぼ全ての問題は異常な過敏症、あるいは充血が特色となる」 四肢の静脈の充血;これは、衰弱と共に腫脹が見られるようになるまで続くので、浮腫(水腫)がレメディ全体の至る所に認められる。静脈が肥大化し、うっ血と炎症の状態で、もろい。静脈は分厚くなり膨れ上がる。血管が体中で脈打つ。「ほとんど全ての問題で、異常興奮(過敏症)や静脈がパンパンに腫れる特徴が見られる」。手足の静脈がパンパンになっている;衰弱が見られるようになるまでこれが続き、Aurumには水腫(浮腫)が広く認められる。手足には浮腫があり、押すとくぼむ。この浮腫は心臓と肝臓の疾患で起こる。擬似多血症を患っているようで、ついには動揺と興奮状態を起こす。身体の極度の興奮(オルガスム)は激しい熱として示される事があり、興奮と共に紅潮する。落ち着きがなくソワソワし、体の組織全体に何か恐ろしい事が起こるように感じる。その後しばらく落ち着いた状態になった後、また繰り返す。これらの激しい極度の興奮(オルガスム)は体の有機組織の局所的な、あるいはどこかの部分の故障に先立って起こる。時として心臓疾患がその例であり、速く歩いたり階段を上がると、肋骨後ろの著しい圧迫感のある呼吸困難を伴ったりする。心内膜炎で体に動揺(turmoil)がある;やがて尿にアルブミンが見られるようになったり、肝臓肥大、子宮がんの兆候が見られるようになったりするなど、根深い疾患に至るようになる。
「骨に穴を掘られるような感じ」「痛みで絶望する」。夜、痛みのためベッドから起き出て(じっとしていらず)歩き回る。これは長く患っている梅毒性の骨痛、また長く患っている水銀病患者に見られる。患者はずっと水銀をとって生活していて、肝臓と関節が肥大している。患者は自分を煩わせる苦しみから楽になろうとあらゆる医者のもとを訪れる。水銀と疾患が混ざり合っているので、ホメオパスの最初の処方でひどい混乱が起こるだろう。患者は激しく周期的な発作を起こす段階を経験する。ホメオパスは、患者が経験しなければならないこれらの恐ろしい発作を乗り越えてもらうよう、Aurum、Chrlidonium、Staphisagriaを知っておくべきだろう。
Aurumは腺と、耳下腺、鼠蹊部の腺、腹部のリンパ腺に素晴らしく作用する;事実 全ての腺に素晴らしい作用をする。乳腺、睾丸、卵巣にも作用し、硬化と浸潤などの状態を乗り越えさせていく。Aurumは慢性的な睾丸肥大と乳腺の腫れ物を治癒する。 のう胞性の特徴のある
これらの腺の腫瘍はAurumにより治癒されて来た。ハーネマンはAurumを希釈振しんとうし、それをいくらか患者に与えたが作用しなかったものの、ハーネマンはさらに徹底的に粉砕し15Cまで至ると作用し、患者は再び家族の元に戻れるまで回復した。ハーネマンは“粉砕の初期の段階では
治癒を起こすには(Aurum)が大きすぎた”と述べている; そこでハーネマンは治癒を起こすに十分な程度に小さく粉砕し、人間のあらゆる外皮(外膜)を通じて人体の有機組織内部に入っていけるように
より希釈を進めた。
Aurumの状態を貫く重要な特徴;気温や天候による影響のされ方があり、その相関性に関して調べねばならないAurum全体と関わるいくつかの症状がある。
「外気への欲求」 Aurumは気温に関してPulsatillaと並ぶ; しかしAurumは温和でも優しくも従順でもなく、頑固で怒りっぽく、Pulsatillaの真反対である。
「概して温かくなると好転」;これは頭痛との関係においてである。 「冷たい水は眼の痛みを緩和する」 「覆っているものをとられる事を嫌がる」、けれどAurumはPulsatillaのように外気を欲する。
「温かい空気で喘息が悪化する」 多くの症状が洗浄のあと、特に冷たい水で洗ったあと消失する; しかし ひどい興奮や動揺、体質的なオルガスム、脈管による動悸を患うといつもドアと窓を開けたがり、冷気にあたるために外に出ようとする;服を脱ぎ捨てたい。この興奮と動悸の状態は外気で好転する。更年期の女性には顔のほてりは非常に一般的で、ほてりの後に発汗したり、時には寒気がする事もある。
レメディについて私達が述べていることの多くは一般的な側面である。マインドに関する事は全て一般的な事だからだ。
Aurumの頭の痛みは非常に激しく猛烈で、しばしば まるで風が吹き付けるような感覚を伴う;すきま風もないのにどこからかすきま風が来ていると思い辺りを見回す; 非常に敏感。 頭部がひどくうっ血し 血が押し寄せる感じがして熱く感じるのに しばしば頭を覆わなければならない。頭部はヒリヒリと痛み、打撲したように感じる。頭部にチクチクとした痛み、燃えるような痛み、裂けるような痛みがある;頭部にズキンズキンというひどい拍動。うっ血性の頭痛とともに、顔がむくみ、紅潮しあでやかにみえる。これらの頭痛はしばしば梅毒性のものに見られる; しばしば心臓疾患と関連がある。心臓疾患や循環の停滞、紫色の顔、皮膚の浅黒さと関わる頭の後ろの痛み。梅毒における外骨腫。頭蓋骨が接触に敏感;触れられる事に敏感な骨膜。骨の疾患と頭蓋骨の壊死を伴う 水銀づけになった老人のケースでは、syphilis(梅毒)とmercury(水銀)のように髪の毛が大量に抜ける;頭部が禿げる。梅毒による禿げ;頭皮は輝き、髪はもう生えてこない。急性病では髪は抜けるが、再度生える。しかしながら しばしば若い梅毒患者の髪が抜けると、残りの人生を禿げたままで過ごす事になる。
目の様々な潰瘍や浸潤にまで至るようなカタル性の特徴を持つ目の障害がある。虹彩炎;視覚組織全体のひどい障害;著しい特徴を本から抜粋して紹介するが、常に念頭に置いておかねばならない体質的な事は忘れてはいけない;mercurial(水銀的)でsyphilitic(梅毒的な状な精神的状態、痛風傾向、関節に関する問題は覚えておくべしであり、また心臓の問題も忘れてはならない。これまで見て来たように、Aurumは目に関連した症状を持ちやすい。「まぶしがり症」 弱視で眼が弱い。「ガス灯をつけると 鮮やかに漂う斑点や点がたくさん見える」「目が月光で好転する」「大きな字がよく見えない」「黄色い半月形の物体が視野の上方に斜めに浮かんでいる」「上方の視野の暗い部分に時折 明るい星のようなものが降る」 Calcareaには奇妙な症状がある;視野の下の方から 突然閃光が昇る;その閃光は上に上がって来ると分かれて、あらゆる方向に星が見える。その様子は打ち上げ花火を打ち上げ、花火が爆発すると光がシャワーのようにふってくる時の光景のようだ。Calcareaではそのように見える。「左目の半盲」 Aurumの目の問題はほとんど言い表せないような多くの奇妙な症状と共に進行し、その奇妙な症状はほんのわずかにテキストに紹介されているだけである。「眼球突出症」 心臓肥大を伴う眼球突出性甲状腺腫で突き出た眼球はAurumで治癒してきた。大きな速脈を伴う甲状腺腫肥大。眼球突出性甲状腺腫は AurumとNat-m.で治癒して来た。「じっと見つめる様な暗い顔つき」「骨の奥まで達する様な目の周りのひどい痛みを伴う虹彩炎」 このような状態はMercury水銀で治療されて来た梅毒によってもたらされたような状態で、Aurumは梅毒とMercuryを解毒するであろう。「瞳孔が不規則に大きくなる」 これは眼のカタル性の状態で、結膜、脈絡膜、虹彩、網膜に炎症がある。梅毒は目をこのような状態にひどい浸潤を引き起こす。眼の周りの痛み; 薄く平らな骨と頭蓋骨全てが圧迫に対して敏感;骨が触ると痛い;骨膜炎;角膜の混濁
梅毒はよく耳をむしばみ、耳の骨を冒す。「乳様突起のカリエス、手におえないほどの耳漏」 耳の骨のカリエス。「さわると痛む耳下腺の腫れ」 「音に過敏; しかし音楽で緩和される」「耳の中でブンブンする耳鳴りや血が流れるような耳鳴りがする」激しい風が吹き 激しく水が流れるような音。「耳と鼻の中の乾燥で苦しむ」 これは全てAurumで治癒される梅毒の症状のようだが、Aurumはまた しょう紅熱の後に続いて起こる鼓膜や耳の(奥の)骨が破壊される耳漏に対応し、また何度も治癒してきた。もちろん聴力は回復しない。患者はまた耳の問題でホメオパスの元へ戻り、ホメオパスはその患者の耳全体の構造が損なわれている事に気が付くだろう; 粘膜と耳の骨が全て潰瘍と壊疽を起こし、臭い分泌物が出ている。患者は聴力を取り戻してほしいとホメオパスに相談するも、それは不可能かもしれない;耳からの分泌を止め、聴力を回復させるという2つの事だけを患者は考える。今日、もしあなた方が耳の専門家の元へ行き、患者の治療について話したとしても、耳の専門家たちはあなた方が何を言っているのか分からないだろう; ただ考えられることといえば 耳からの分泌をできるだけ早く止めることだけだ。 耳の専門家(耳専門医)は耳が大丈夫かどうか調べるだろう; そしてもし損傷を受けていれば、聴力も損なわれており、そしてただ耳からの分泌を止める事だけが考えられる。ホメオパシーは(病気ではなく)「患者」が治療されるべきだと教えている。ただ患者を治療するのだ。患者を治療して初めて器官と組織が正常になる。医師の務めとは患者の健康を再び取り戻すという事に尽きる(オルガノンの言葉)。
局所治療をする鼻専門医もいる。こういった鼻の局所治療により、鼻の病気や結核性の問題がもたらされるだろう;鼻専門医は鼻からの分泌を止める。すると当然自然はどこかで(そのエネルギーを)発散させねばならないので、胸部での分泌を起こす; 粘膜の問題は肺、柔組織へと進行し、しばしば結核の特徴を呈する; すると局所治療の専門医たちは かん菌が発生したと言う。 これは偽の科学(偽サイエンス)である。 清潔で健康な組織だけが唯一安全装置である。Aurumは悪臭のする分泌物を伴う鼻の問題にあふれている。鼻骨の壊死;梅毒性壊死、鼻が崩れ落ちる;骨が溶け出す。こういう鼻が崩れ落ちた人が歩いている時、もし充分近くに行く事ができればひどい悪臭が観察されるだろう。彼らはほとんど皆 梅毒である。わずかなレメディだけがこういった鼻の状態の梅毒を治癒する力を持つ;Aurum Mercury Heparがそのうちの3つである。私はこういった状態を何度もHep.で治療してきた。私は かつて骨が完全に軟化してしまっていた男性を治療した。この男性はただ軟骨構造によって鼻の位置が保たれ、触られると曲がってしまいそうだった。私はこの患者にHep.を投与した。Hep.は 無駄にMercury(水銀)をめいっぱい与えられた後のこの男性の梅毒を治癒した。「鼻感冒、卵白のような濃い分泌物」「朝 後鼻孔から粘液が分泌する」「鼻の頭が丸く(knobby)、赤く、Lach.のようである;イチゴのような鼻。心臓病のケースでは静脈瘤による小さなこぶが鼻にあり、右側の心臓の問題を伴う; 概して酒飲みの年よりと心臓疾患のある人に見られる事がある。顔が赤く膨れている。Aurumは小鼻と唇の上皮腫を治癒してきた。鼻からのひどく恐ろしい臭い、鼻骨の痛みに続く嗅覚の喪失を心得ておきなさい;鼻カタル。「潰瘍化し、こう着した痛みのある鼻こう」「鼻の痂皮」「乾いた鼻かぜでも引いたように鼻に詰まったような感じがある」「ほぼ全ての種類の鼻の疾患を伴い、患者は心配と胸いっぱいの悲嘆でめいっている;黒雲がたちこめて死にたいと思う。厭世感があり、自殺を行う何らかの手立てを見つけたいと思う。」「目の下の膨らみ」「鼻と唇のあたりが青い」「顔が燃えるように赤い」「歩いている時 右の頬骨突起が激しく圧迫される(ぐりぐりと痛む)」「虫歯」「夜 歯が痛む」「臭い息」「口蓋と喉に梅毒性の潰瘍」「硬口蓋に圧迫される痛み(ぐりぐりする痛み)」
Aurumは硬化、肥大、炎症を起こしている肝臓にも際立った効力を有する; 心臓病を伴う硬化; 心臓と肝臓の肥大。腹部で血液を循環させる際の心臓と素晴らしい受容機関としての腹部のその働きと、静脈系、門脈系との近い関係性を考えれば、心臓と肝臓の疾患が失望と絶望に関わるという事は驚くには値しない。一方で、例えば肺結核では、恐らく誰も絶望しないだろうし、肺結核の患者は自分は良くなると考えるだろう;肺がほとんど結核の状態になったとしても、少しでも体を起こして喉から何かが少しでも出て行けば自分はよくなるだろうという事を知っている。すなわち 肺と知性(理解力)、心臓と意志の間には特別な関係性があるのである。とるにたらない程度でも心臓に問題が生じれば失望が生じるが、肺に疾病が発生しても希望は満ちている。
腹部の水腫状態。「鼠蹊ヘルニア」「腸間膜結核」 全身の腺が多少なりとも関係する。生殖器のあらゆる疾病。「睾丸の硬化」「頻繁な夜の射精」 性的な不道徳的行為のための問題。「水瘤」「淋病後の陰嚢の潰瘍」「会陰に灼熱感とチクチクする痛み」「肛門周辺のコンジローム」「子宮硬化」「月経は遅くやってきて量が少ない」「子宮脱と子宮硬化」「濃く白い帯下」腕を引っ張ったり伸ばしたりする事から子宮と骨盤付近に問題が起こる; 窓に手を伸ばしカーテンを窓に付けようとしたことから流産したりなどする。Aurumは繰り返した流産の結果として起こる子宮の硬化と子宮の潰瘍化に適する薬である。そのような状態が関わる愛情の欠乏と、Aurumに見られる愛情や愛情の欠乏を学ぶと、あなた方は症状における深く論理的な類似性というものが分かるだろう。類似性、これこそがレメディを見つける方法である。自分の子孫までをも破壊してしまうかもしれない この人類の状態を調べること、またこのような状態を作り出しているレメディに性質を調べることは医師の領域でもある。私達はAurumの中に、曲がった人間の愛というものを見る事ができるし、またそれが人間存在全体を崩壊させるということを見る事もできる。
喘息と呼吸困難という症状から当然心臓疾患が関わる事は予想できる。また呼吸困難には肺が関わる呼吸と心臓が関わる呼吸の2種類があることも気をつけるべきだ。つまり心臓性という特徴を有する喘息性呼吸困難と、純粋な呼吸器の問題の呼吸困難があり、これらは全く別の特徴を有する; 1つは愛情に卓越した作用を有するレメディに属し、もう1つは知性に卓越した作用を有するレメディに属する; 1つは肺に関わるになり、最終的には肺気腫をもたらす;不規則な心臓の働きが見られる他の1つはこれとは全く異なる特徴で、2次的に肺気腫が関わる。これらを心に刻み病理学を学びなさい。そうすれば病気の本質と病気が引き起こす事を理解できるようになる。これら(そこで得られた理解)は単なる観察でも奇想でも理論でもなく、物事を内側と外側の両方から学んだ果実である。
Aurumは痛みが関節から関節へと遊走し、ついには心臓に落ち着く。関節から関節へ遊走していた古いリウマチが狭心症で終わる事もしばしばある。「呼吸が難しい」。そのケースが少し続くと、血斑が現れ、右を下にして横になると打診では下半身が鈍い音がし、上半身は音が共鳴する。強い苦痛を伴う動悸。速く歩いたり階段を上がったりすると、下半身の浮腫と共に心臓部にひどい圧迫感がある。
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