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Merc.mercurius

James Tyler Kent ケントのマテリアメディカ

MERCURIUS(merc)/水銀

Mercuryの病理学はMerc.viv.とMerc.sol.という2つの微妙に異なる調剤のプルービングにおいて認められる。Merc.viv.とMerc.sol.は、臨床における区別を充分に示せるほど差異がない。

水銀(Mercury)は温度を測る時に使われ、Merc.の根本体質として、変わりやすさと熱と冷たさへの敏感さがある。患者は極端な温度で悪化し、熱でも冷たさでも悪化する。ベッドに行かなければならないほどの急性におけるMercuryの症状は、ベッドの温かさで悪化するので、覆うものを外さなければならない; しかし、覆う物を外し、冷たくなると、また悪化するので、快適さを保つ事は困難である。これは痛み、熱、潰瘍、発疹にも、そして患者自身についても当てはまる事である。

Mercuryは気分を害しやすい患者である。「水銀的臭い」という言葉があるが、特に息が非常に不快に臭く、部屋に入った途端に分かる; 部屋全体に充満する。汗は不快な臭い;強く、いくぶん甘く、きつい悪臭。 不快さが全てを貫く; 不快な臭いの尿、便、発汗; 鼻と口からの臭いも不快である。Merc.を多く用いると、患者は不快な臭いの唾液を出す。一度そういった唾液の患者の臭いをかいだ事がある人は、水銀的な臭いを忘れないだろう。私が学生の頃、ほとんど全ての部屋にも水銀的な臭いがあったことを覚えている。Mercuryは歯茎が影響され、唾液が生成されるまで与えられた。臭いはしばしばMerc.の指標である。

夜悪化する。骨痛、関節患部、炎症的状態は全て夜悪化し、日中、いくぶん緩和される。 骨痛は例外なく当てはまるが、特に骨を覆う肉が薄いところに骨痛がある。骨膜の痛み、穿刺痛は、夜悪化、またベッドの温かさで悪化する。

●腺の炎症
腺が炎症を起こし、腫れる; 耳下腺、舌下腺、首と鼠径部と腋窩(脇)のリンパ腺全てが影響を受ける; 乳房が腫れ、肝臓の炎症と腫脹がある。
腺に関する特筆するレメディである。硬化もまた一般的である; 炎症を起こした部分が硬化する。皮膚が炎症を起こすと、堅くなる。炎症を起こした腺は堅くなる。潰瘍を伴う硬化がある。

●潰瘍化
潰瘍化のしやすさが、このレメディを貫く。
潰瘍は喉、鼻、口、下肢など、あらゆるところに見られる。刺すようにズキズキし焼けるような潰瘍とラードのような基部、ラードのコーティングが全体に広がったような灰白色の外観。
咽頭の潰瘍はこのような見た目。
粘膜は潰瘍になることなく炎症を起こす事があるが、滲出があり、よってジフテリアでは役立つ。
潰瘍と同じ状態; 灰色のラードのようなものの滲出や灰色の付着物で組織が衰弱している時。そのような形態の下疳、主成分に白っぽいチーズのような沈殿物がある下疳。Merc.の疾患は夜悪化し、骨痛や骨膜の炎症などがある事を考えると、Merc.が梅毒を治癒する事があるのは驚くに値しない。
アロパスがMerc.をこの病気に対して思いつき、治療したり抑圧した事は素晴らしく、類似性に従い継続的に使う事の正当性を示すための充分なケースである。


●膿
他の顕著な特徴は膿を形成しやすい事である。炎症に伴い、めまいと刺すような痛みと膿みの素早い形成があり、その部分は温かさと冷たさの両方で悪化する。
焼けるような刺すような膿瘍; 膿の形成を伴う関節の炎症; 胸膜の炎症で腔が濃で満たされる。黄緑色の膿みからの分泌物。Merc.の淋病性の分泌は濃厚な黄緑色で、尿道に刺すような焼けるような感じを伴う。

関節のリウマチ性の炎症と粘膜のカタル性炎症はこのレメディを貫き、これらに伴い発汗がある。驚くべき特徴は、発汗で緩和されない事と、発汗の間悪化させある事である。老人の梅毒、淋病、痛風患者におけるリウマチ。

Psora、Syphilis、Sycosisのいくつかのケースに関わるものに充分類似している。3つのマヤズム全ての性質がある。

●やつれ
Merc.をとった後、プルーバーが長くやせ衰える。
これは、老人でMercuryをとった者と、水銀をずっと服用してきた梅毒患者において見られる事である。Merc.は震えを伴い、定常的なやつれの状態があり、夜悪化し、ベッドの温かさで悪化し、非常に落ち着きのなさがあり、どのような姿勢でも安らぎを見出せない人に重要なレメディである。これらの衰えゆく、不幸で哀れな人は、Psoric、Syphilitic、Sycoticのいずれかに関わらず、非常に苦しむ人である。

●膿瘍
熱さを伴わない腫れと膿瘍が繰り返し形成されるという奇妙な特徴。
関節に膿瘍と腫れが形成され、頭部や足から発汗し、夜悪化し、体重が落ち、震え、衰弱するが、膿瘍が続いている間 熱がない。
ライフフォース(生命力)が非常に低く回復傾向がない時、膿瘍が形成される; ゆっくりと長い期間膿瘍が形成され、膿瘍に刺激性はなく、肉芽を形成する傾向もなく、開いて分泌が続き、感覚が麻痺したような感じ。Merc.はそれを温め、発汗を止め、肉芽形成を助ける。

●表層的潰瘍
表層的な潰瘍が広がりやすく、侵食性を持つようになる; 深くはないが大きくなる。
これらの開いた潰瘍は特に年をとった梅毒患者に見られる; ラードのような基部; それほど刺激性がなく、それどころか麻痺し無感覚的で、膿が分泌されれば黄緑色;疑似肉芽の出現。 
Merc.Cor.は表層的で、腐食性があり、侵食的な潰瘍に重要なレメディである。
時々Merc.は壊疽性状態において使用される。これはどこにでも現れるが、特に唇、頬、歯茎に現れる。壊疽性口内炎(水癌)。

壊疽性下疳(*下疳:性交によってできる伝染性の潰瘍(かいよう)。)、臭いがきつく黒い; 脱疽(*脱疽:はっきりした原因がないのに手足の先に治りにくい傷ができ,時には手足の一部が腐ってくる状態)が下疳に形成され、その部分の皮がはがれる。これら全ての状態は熱により悪化する。典型的Merc.の膿瘍を伴う患者は時々湿布を非常に嫌がるが、湿布は問題を悪化させる。


●震え
震えは、このレメディ(merc.)を貫き、全身が小刻みに震えている。
振戦麻痺において有益性を持ち使われてきた。手の震えのために、何も持ちあげられないし、食べたり書いたりできない。Merc.はてんかん的発作、震え、めちゃくちゃな動きを伴う子供における重要なレメディである。Merc.は、子供が、手足のバラバラのぎこちない動きから成長し、それを脱する事を助ける。
舌の動きがメチャクチャで、子供は話せない。痙攣。意志作用により瞬間的にはコントロールされる、不随意の動き。極度の不穏状態(落ち着きのなさ)。

震え、衰弱、発汗、化膿と潰瘍、夜悪化、熱さと冷たさで悪化、これらはMerc.の初期の印象を与える。


●精神症状
精神症状は、この医薬Merc.の本質をより深く示すものであり、豊富にある。
Merc.全体を貫く顕著な特徴はせっかちさである; 急いでいて、落ち着きがなく、不安で衝動的傾向。冷たい曇天の天候の時、あるいは湿気のある天候でやって来て、精神は働かない; 遅く、緩慢で忘れっぽい。これは、愚かな間違いをしやすい人に注目されている。質問にすぐ答える事ができず、眺め考え、そして最終的に理解する。
痴愚と脳軟化症は強い特徴である。愚かになる。急性の問題としてのせん妄。患者はその感覚から、自分は理性を失っているに違いないと思う。
自分に反対する人への殺意。殺したい衝動、または自殺を決行したい衝動; 暴力的な事をしたいという症状を伴う突然の怒り。

自殺を決行してみたい衝動、または暴力的な事をしてみたいという衝動がある。そして患者は自分の理性を失うのではないか、自分の衝動を実行に移すのではないかという恐怖がある。衝動的な狂気は特徴であるが、痴愚は狂気よりも、もっと一般的である。これらの衝動がMerc.の特徴を導く。
患者は自分の衝動について語らないが、自分の意志深くにあり、自分を駆り立てる、はかりしれない邪悪さについて語る。Merc.が患者に投与されると、患者はたとえどんな事でも自分をコントロールしようという衝動を持つ。Merc.は患者に何かをするのだろう。
月経の間、非常な不安、非常な悲しみ。何か邪悪な事が差し迫ったように不安で落ち着かず、発汗を伴い、夜悪化する。

全ての症状は、古い梅毒に共通のものであり、水銀療法と温泉での硫黄浴で衰え、骨痛と腺の問題、発汗、カタルと潰瘍を伴う。

●頭
頭皮のリウマチ性問題、灼熱感と刺すような痛みがあれば神経と脳の問題、天候による痛み、頭部の問題がある猩紅熱に罹患した後 耳漏を抑圧したというような分泌物を抑圧した事に基づく頭部の問題がある時、Merc.は適合する。
もし、子供の元に呼ばれ、その子供に頭部に発汗があり、瞳孔が開き、頭を転がし、夜悪化し、猩紅熱があるか耳からの分泌を抑圧していれば、Merc.を考える。

Merc.はチフスの状態に類似した長引く発熱の状態を治癒し、Merc.は耳からの分泌の抑圧により引き起こされる。私はホウ酸ナトリウムや防腐剤などを耳につめたために、初めは弛張性の発熱(上がったり下がったりする熱)で、その後発熱が続く患者を治癒した事がある。

これが1粒のMerc.の後、5~6週間続き、分泌が戻って来た時にだけ緩和される。
私は次のケースを思い出す。脳脊髄膜炎で呼ばれたケースであった;頭が後ろに引っ張られ、ゆがみ、一方向だけに固定されていた。それは抑圧された中耳炎の分泌として始まった。2~3人の医師が呼ばれ、なすすべはなかった。夜、私は患者のもとへ行き、そこで患者のこれまでの病気の事と、Merc.の症状を得た。Mercuriusは24時間以内に分泌を呼び戻し、斜頚は消え、熱は下がり、子供は素晴らしい回復を達成した。私はこのようなケースを多く思い出す事ができる。

頭皮にまるで包帯をされているような緊張がある。神経質な女の子は鼻の上と目の周りにひもで縛られたような、またはきつい帽子が頭を圧迫しているような頭痛がある。
目に圧迫するような、裂けるような痛み。
リウマチと痛風の根本体質における、冷たさ、湿気のある天候で悪化する骨膜の痛みで、目と耳の敏感さ、ひりひりする喉、腺の腫れを伴う。
古い水銀による梅毒における頭痛;これらはバロメーターになる;天候への過敏さ

●頭痛
カタル性の頭痛は非常に煩しいものである;濃い分泌を伴う慢性カタルを患うことによる頭痛。濃い分泌物は水様になり、額と顔と耳の痛みは非常に苦悩を与える。これらの頭痛は非常に激しい。
あらゆる部分からの分泌の抑圧による、あるいは足の汗を抑圧した事からの慢性的リウマチ性頭痛; 足の汗と頭痛の交互性。
足の汗が消失すると、関節に痛みと硬さを感じる。Silicaもまた同様である。
Sil.とMerc.は慎重に選ばれても、お互いの後にはうまく作用しない; けれども、もし天然の水銀(Mercury)が長期間とり続けられ、Nitric acidのようにSilicaがその症状が合致すれば、症状を取り除く良いレメディである。

全ての頭痛に伴い、頭部にひどい熱さがある。破裂しそうな頭痛、脳がいっぱいな感じ、バンドのような締め付け感: 万力のような圧迫。
頭痛の時、空気に敏感である。これはMerc.全体に当てはまる。部屋の中で緩和されるが、暖かったり寒かったりする部屋では悪化し、隙間風で激しく悪化する。覆われたいと思うが、熱からは悪化する。輪のような感覚は夜悪化。

Merc.は、はしかと猩紅熱の後の、急性の水頭症を避けるための素晴らしいレメディである; 頭を転がし、うまく子供で、その頭には汗をかいている。
Apisに非常に近い関係があるが、Apisもまた猩紅熱の後の水頭症の予防、または治癒の重要なレメディである。

年をとった梅毒患者における外骨腫症(骨化過剰)。
頭蓋骨膜における、爪やガラスの破片などで切り裂かれたような、引き裂かれるような痛み。
頭部の外側全体が触られると痛い。頭皮がピンと張ったようなヒリヒリするような感じ。
頭に不快に臭い、脂っぽい汗。湿潤性湿疹、剥脱性で悪臭のする発疹のある子供。

●目
Merc.は素晴らしい目のレメディで、特に風邪において素晴らしいレメディである。
痛風とリウマチの患者では、風邪のたびに目に影響を残す。火を覗き込む事から悪化する目のカタル、あるいは火のそばに座る事から少し悪化する目のカタル。
まるで長く睡眠を奪われていたかのように、まぶたが強力に引き合う。
目の前に霧やかすみ。
Merc.は梅毒患者の虹彩炎を治癒する。このごろのやり方は、目の癒着を防ぐために虹彩炎に散瞳薬を使う。私は多くのケースを治療し、瞳孔を拡大させようと思わなかった。私が信じるところによると、そういう事は必要がない。ホメオパシーレメディは虹彩炎を素早くストップするので、目の癒着は形成されない。またもし癒着が始まってもレディがそれを取り除く。

目の周りとコメカミにおける引き裂かれるような、焼けるような痛み。まるできつくぴったりする帽子があるような頭皮の緊張感、あるいは紐を巻いたような緊張感。角膜の潰瘍と炎症。
角膜に導管が現れる;炎症、特に角膜に限った炎症、膿疱性なこともあるし、拡散されることもある。全ての目の症状に伴い非常に多くの落涙があり、涙は皮膚を傷めヒリヒリさせ、頬の下に赤い線をもたらす。緑色がかった黄色、あるいは緑色の分泌物。まぶたは痙攣的に閉じる。非常なまぶしがり症。
まぶたの組織全ての炎症的状態における、結膜炎と、より深い組織特性。Dulc.のように、冷たさが目に影響を残す。

時々、眼球の虹彩に、小さな細かい腫瘍を見つけるだろう。それは瞳孔を横切るように成長し、くっついている。それはまさに梅毒性のコンジローマである。Merc.はこれを数日以内で治癒する。網膜と脈絡膜の炎症と、視神経の炎症。あらゆる視覚障害。まぶたの腫れを伴う化膿性眼炎において役立つ。根本体質的にMerc.が必要な2人の子供の1人は梅毒、もう1人はリウマチかあるいは痛風。患者は目を開けられない; 発作的に(痙攣的に)目を閉じ、大きな腫れがある。

●耳
耳の問題。恐ろしく悪臭を放つ緑色がかった分泌物。
鼻や他の部分からの分泌物のような緑色の、濃い、刺激的な膿みが耳からある。
悪臭を放つ耳漏。破れた鼓膜を伴う中耳炎において、Merc.は頻繁に必要とされるレメディである。
長く、寒い冬の後の春において、冷たい湿った天候は耳漏の多くのケースを引き起こす; ほとんど大都市特有の地方病である。 
耳の鼓膜はレメディによって良い状態に置かれると、他の部分のように癒える。もし、充分治療されなければ、問題が残されるだろう。炎症の起きた耳は、痙攣のような痛みを伴う。Merc.にはApisのようなズキズキする刺痛がある。決まり切った仕事をする全ての人が、ズキズキする刺痛にはApisを投与する時、しばしばその患者が必要とするのはMerc.だという事がある。
化膿性の、悪臭のある耳漏。両耳の全ての炎症を伴う耳下腺と頸部腺の肥大。耳下腺はヒリヒリし、肥大し、首が堅くなり、頭部が時々後ろに引っ張られるようである。外耳道のフルンケル(*化膿菌が毛包からもっと深く脂腺(しせん)にまで入ったもの)。ファンガス(菌性のもの)、こぶ・いぼ、ポリープ。

●鼻
鼻の問題を述べるのには時間がかかるだろう。
鼻の骨が影響を受けている老齢の梅毒患者は、濃い、緑色、黄色、刺激性のある、刺すような分泌物を伴う。鼻から鼻血と血液の混じった分泌物。顔の骨からの圧迫感を伴う、刺激性の、水様子の鼻感冒で、熱さと冷たさで悪化、夜悪化する;あらゆるすきま風に敏感;起き上がり歩かなければならない。反対の状態として、ひどいくしゃみを伴う鼻感冒があり、これは横たわると好転し、夜ベッドに横たわっている間はその症状がなく、日中、起きている間だけ症状がある。熱い空気を吸い込むと鼻に良いように感じるが、その熱は体を悪化させる。絶え間のないくしゃみ。血が出たり、カサカサした、赤い小鼻。
古いカタルが鼻に臭う。ヒリヒリし、焼けるような、膨張する感じ。
小鼻の内側に裂けるような、焼けるような感じ。骨にうずきと裂ける感じと圧迫感。
顔の骨の痛み、外に向かって押されるような感じがあり、そのため患者は外側から押したいと思うが、押すと痛みがある。

Merc.はいつも風邪をひいているようなPsoric(疥癬的)状態全体を充分治癒できるほど深くない。Merc.は風邪をすぐに治癒するが、その性質を植え付け、患者はより頻繁に風邪をひく。Merc.はしばしば投与されるべきではない。ひと冬に2回以上の頻度では投与されるべきではない。
Kali-iod.も同様の顔の灼熱感、流れる鼻感冒に良く、ベッドの熱と温かさで悪化し、一見Merc.が示されるような夜の鼻感冒を治癒する。またMerc.を解毒(アンチドート)する。
Psoric(疥癬の)ケースではMerc.を多く用いてはいけない; より深い医薬を探す。

Merc.は梅毒性の発疹との神経痛があり、カタルは伴ったり伴わなかったりする。
流行性耳下腺炎の重要なレメディである;この状態におけるお決まりのレメディでもあり、その事が頻繁に示されるレメディである事も示す。症状が合致すれば治癒する。


●歯・口
唾液が過剰に分泌されている壊血病性の歯茎。
慢性歯周炎;歯の周りから化膿性の分泌。歯痛;特に高齢の痛風と梅毒患者の、歯痛のたびに。歯が緩む。赤く、柔らかくなった歯茎。歯が黒く汚い。梅毒性の子供における、Staph.のような黒い歯と早期の虫歯。大量の唾液。
触れると痛い歯茎。歯茎と歯根の拍動。
歯茎は青みがかった赤、あるいは紫色のような縁があり、ぶよぶよして出血しやすい。歯茎が下がり、歯が長くなったような、引き延ばされたように感じられる。歯がヒリヒリし痛みがあるので、噛めない。歯茎と歯根の膿瘍。

●味覚、舌、口
味覚、舌、口は重要で明確な症状を与える。舌に反映される時、たるんでいて、バサバサ粗い感じで、しばしば青白い。舌の端に刻印された歯型も見られる。舌は腫れ、ぶよぶよしているので、周りにある歯が押しつけられると歯型がつくのだ。舌の炎症と潰瘍と腫れは強い特徴である。
年をとった痛風体質の人は、腫れた舌をしている; 夜舌が腫れ、起きると口いっぱいに舌が腫れている。
味覚は異常で、当たり前の味がするものは何もない。舌は黄色、何層にもなったチョークのように白いもので覆われている。
悪臭のある口;口から腐敗したような臭い、特によだれが出た患者は水銀のような臭い。

舌は動きがぎこちなくなる;話す事が困難;話している事は分かりづらい。酔った人の、ぎこちない舌。
平らな潰瘍;侵食性の潰瘍;頬に穴が開く。軟口蓋が侵食され、硬口蓋の骨はしばしば侵食される。 上顎洞における化膿性できものと、口から洞へのろう孔。このようなろう孔において、特に骨まで影響を受けている時FLUORIC ACID と SILICEAはより頻繁に指示される。

不快に臭い大量の唾液。子供と授乳中の母親のヒリヒリする口;水銀の臭いと、たるんでぶよぶよした見かけの粘膜と舌を伴う小さなアフタ性斑。全体的に広がった口の炎症。全体の粘膜が敏感で、痛みがあり、灼熱感があり、刺すような、うずくような感じ;アフタ性斑を伴ったり伴わなかったりする乾燥。子供の鵞口瘡。壊血病性の歯茎。

●咽喉
ヒリヒリする痛みのある喉。ぶよぶよした見かけを伴う喉の炎症に対してのレメディである。一般的に拡散性のある腫脹、耳下腺の腫れ、首に張った感じとコリがある。
潰瘍にラードのような基部;平らな潰瘍、広がっていく潰瘍。喉に重度の乾き。腫れのために、嚥下に関して動く全ての筋肉の動きが阻害される。嚥下は困難で、痛みと麻痺的な衰弱があり、飲み込もうとする力で鼻の方に食べ物の固まりが押され、鼻孔から液体が飛び出す。
水銀の臭いは強い特徴があるが、その臭いが感知できない時でもMerc.が治癒する事がしばしばある;Merc.は前記のような喉との親和性があるのだ。
Merc.は慢性的な喉の問題と梅毒性の潰瘍と斑がある。炎症は上方と下方に広がり、赤と青白い斑点が現れる。その赤さは、まるで膿んだり潰瘍化しているような赤さである。赤い斑点はひどい紫色になるが、紫色がもっとひどくなれば、Lach.のようでもある。
扁桃腺は刺すような痛みを伴う暗い赤。膿が形成され、扁桃周囲膿瘍になる。
Merc.はジフテリアに役立つが、そのほとんどのケースは拡散性があり、斑がひどく、あちこちにあり、ぶよぶよした感じではあるが潰瘍化していない。
腫れもの;腫れあがったものの基部に滲出性のものが現れる。
首のコリ。
喉の丹毒性の炎症。喉に、暗く、腐肉を形成する、侵食性、腐食性の潰瘍がある。

●胃
肉、ワイン、ブランデー、コーヒー、脂っこい食べ物、バターへの嫌悪がある。ミルクがあわず、酸っぱくなって吐きもどす。甘いものも合わない。ビールと合わない。は慢性的に不調; げっぷ、吐きもどし、胃食道逆流など。胸やけ; むかつくような。嘔吐を伴う吐き気と食べ物吐きもどし。胸やけがあるので、食べ物は重荷のように感じられる。これら全てを通じて、唾液は継続的に口に流れる。消化が続いている間改善されることはない。半分消化されたものが吐き出される。リカー、ビール、ワイン、ウィスキーのために胃を壊した人の状態のようである。

●肝臓
肝臓は非常な問題を呈する。私達の祖先は何年も、肝臓を調整するために落胆を引き起こす錬剤を春のたびに取っていた。自分で薬をとり、春ごとに肝臓に少し働きかけ、その結果、医師が在宅していたであろう時よりも肝臓が悪化する。
便秘、胆汁性器質、胃病。胃のあたりにいっぱいな感じがあり、しばらく続き、冷たさと湿気のある天気、温かさと湿った天気で悪化、春悪化、黄疸の状態、胃腸障害、夜悪化、ベッドの温かさで悪化、夜間の発熱状態と口臭、これらはMerc.の状態を示す。
肝臓に縫うような感覚。肝臓の症状は右を下にして横たわると悪化する。Merc.の多くの症状は右を下にして横たわると悪化する。肺の症状と咳、肝臓、胃、超の症状は全て右を下にして横たわっている間悪化する。

●腹部
腹部に疝痛、ゴロゴロいう音、膨満、うずき、痛み、刺すような感じ、灼熱感がある。Merc.には下痢、便秘など非常に色々な便がある。はっきりあらわれた赤痢の状態。ひどいしぶり腹を伴う粘液が混ざった血便、終わらないように感じる。もう何も出るものがなくなった時でさえ、「全部出せない」という感覚。これはNuxとRhusにおける赤痢とちょうど反対である。これらはほんの少しでも便が出れば緩和されるが、Merc.とSulph.は座って力む。全てのMerc.化合物は同じ状態である。

●赤痢
Merc.Cor.はよりひどい発作状態で、排便と排尿への激しい衝動にかられ、部分的な灼熱感と鮮血の流れを伴い、激しく苦しむ。Merc. Ipec. Acon.は暑い気候で頻繁に流行性の赤痢において示される。Ipec.とDulc.Merc.は頻繁に冷たい天候における赤痢で示される。

あなた方は赤痢のケースのベッドサイドへレパートリーを携え行くべきである、あるいは家に戻り薬を送るべきである。最初の投与で流行性の赤痢を治癒すべきであり、またあなた方が注意深い仕事をするなら全てのケースを治癒するだろう。治癒するには非常に単純な状態であるが、混乱を起こされれば非常にひどくなる。赤痢の場合、Ars.の投与については、Ars.が完全に示されていると確信するまで逡巡せよ。数日前、私は両側の神経症のために横たわる事ができないという患者をみた;患者は絶え間のない嘔吐、足首と手と腕と肩の炎症性リウマチ、腕と足に紫斑、胃の炎症があり、完璧な病気の博物的状態だった。患者はPhos.とArs.と他に多くのレメディを非常に高いポテンシーでとっていて、全ては充分用心深く選ばれていた。けれど、Cadium Sulphが15分以内に患者を眠らせた。ここでポイントは、患者は動きたがらなかったという事で、他の全ての症状がArs.のようでも、動きたがらないという事がArs.的ではない。これはCADMIUM SULPH.の強い特徴である;CADMIUM SULPH.はCOLCH とBry.のようにじっとしていようとする。長い間、私はCADMIUM SULPH.をこのようなケースに用いてきた。

私はコーヒーの粉のような吐しゃ物を伴う癌の患者のケースをみた。ここでCADMIUM SULPH.はその嘔吐を止め、その後患者が6週間後に亡くなるまで非常によく食べた。患者を診ていた医師は、患者が食べられなくなるまでArs.とPhos.とモルヒネを投与していた。

●尿/生殖器
尿は焼けるようでズキズキ痛む。頻繁に尿意に駆り立てられるが、尿はわずかに滴る程度;血尿、非常な灼熱感。尿道からの出血。尿が通過する事で痒みが悪化。しばらく存在していた淋病;分泌物が濃く、黄緑色で、悪臭がある。排尿中、尿道にズキズキとした痛みと灼熱感。性欲の喪失。痛みのある勃起を伴う淫らな興奮。下疳とchancroidに適合となる包皮と亀頭の潰瘍。
平らな潰瘍;ラード状の基部の潰瘍。包皮の内側の表面の炎症。悪臭のある膿みを伴う亀頭炎。慢性的亀頭炎において、亀頭の後ろと前側の皮膚に膿が形成されている時、淋病性か疥癬性か、JACARANDA CAROBAを考慮する。

多くの試練を抱える女性。卵巣の灼熱感と、ズキズキする痛み。痛みから叫び声をあげる。
卵巣に、ズキズキする、裂けるような、切られるような痛み; 患者は汗で覆われる。 
大量の、刺激的な帯下、部分がヒリヒリし、炎症を起こし痒みがある。
子宮にズキズキするような痛みと痒み、ほじられるような痛み(穿刺痛)がある。月経期の子宮と卵巣の痛み。月経期における、妊娠していない女性の母乳。月経の出血の代わりに胸から母乳。 私はかつて変わった16歳の少年を診察したことがある。彼は母乳が出た。私はこの患者をMerc.で治癒した。

●月経
月経の出血は明るく赤、薄く、刺激があり、塊があり、非常に多いか、もしくは少ない。月経が抑圧されている事もある。胆汁性のためにMercuryを常習してきた女性は、不妊が続く。(コーヒーを飲む人も、しばしば不妊が続くので、そのコーヒーを止めさせなければならない。)突然の感情の激発を伴う無月経。女性生殖器の下疳。
ヒリヒリし、常に出血している擬性肉芽のある生殖器を露出する老齢の女性。

膣に灼熱感、拍動、痒み。尿の接触から生殖器の痒み;尿を洗い流さなければならない。
少年、少女、子供において、排尿の後、尿で焼けるようで、いつも手を生殖器に持っていく。刺激性の帯下があり、そのため灼熱感と痒み、多くの問題を引き起こす少女。
生殖器の蜂巣炎。
月経期におできと膿瘍;粘液と皮膚に沿った小さな楕円状の膿瘍、痛みがあり、歩くと悪化し、月経期の出血中に形成され、月経が終わるとつぶれる。これは痒みを伴い、ひどい苦悩をもたらす。

つわり(朝の吐き気)。生殖器に浮腫性腫脹がある妊娠中の女性。広がった炎症、生殖器と骨盤のヒリヒリする痛みと何か詰まった感じがあり、これが歩きづらくさせ、患者はベッドに行かなければならない。妊娠早期の骨盤蜂巣織炎において、Merc.は重要なレメディである。非常な弱さから繰り返す流産で、適切に使われればMerc.は患者に素晴らしい強さを与える。いつまでも続く悪露。少なく損なわれた母乳。

Merc.は子宮と乳房の癌における最も優れた緩和剤の1つである。上皮腫を抑制したり、時には治癒する事もある。私が知っている原初的なヨウ化物により治癒されたケースは、潰瘍化し、硬化したガチョウの卵ほどの胸部の腫れもので、腋窩のこぶとその部分の青さと絶望的な状態を伴うものであった。100倍希釈を痛みがひどくなるたびに投与すると、痛みは去り、良い状態を維持した。

観察される鼻への作用がMerc.の鼻感冒の全てではない。ほとんどのMerc.のケースは鼻に始まり、喉に移り、そして喉頭にヒリヒリする感じと何かがこすれる感じ、胸部に赤むけてヒリヒリする感じと痛みをもたらす;喉頭炎、気管炎、気管支炎。声が出なくなる、完全な失声。Merc.の風邪のたどるコースは下向きで、肺炎に至る事さえあり、そこでは発汗と落ち着きのなさ、ベッドの温かさによる悪化がある。もちろん風邪の多くの影響も鼻に残っている。

●胸部
胸部には様々な状態がある。
咳;風邪が胸部に残り、押し戻す力が欠如し、遅い回復。風邪はついには気管支に入り込む;胸が張り裂けるように感じ、咳は右側を下にして横たわると悪化する。外気にさらされた事から風邪をひき、病人のようで血色が悪く、ひどい咳と胸部にガラガラする音を伴う多くの患者を回顧する;天気が変わるたびに患者は新しく風邪をひき、右を下にして横たわれない;彼らは粘液性肺病に至るか、あっという間に結核(肺病)になる傾向がある。咳は夜の空気で悪化する。胸部に多くの痛みがある。リウマチの体質があり、常に発汗し、発汗中悪化し、極度の熱さや寒さで悪化する。

寝汗を伴い、胸部にチクチクするような、刺すようなリウマチ性の痛みがある。血の混じった、濃い、緑色の喀痰。肺の化膿、大量の膿汁の形成。激しい極度の興奮、胸部に湿性ラ音と熱さがほとばしる感じ。ヒリヒリする咽喉とリウマチと首のコリという多くの症状を伴う;腺の腫れと痛風を伴う首のコリ。
風邪のたびに首のコリ;首の横と後ろ側のコリ。他の症状とともに、頸部の硬化とヒリヒリする痛み。

●関節
Merc.は特に関節に作用; 非常な腫脹を伴う炎症性リウマチで、ベッドの熱とカバーをしない事で悪化する。発汗を伴うリウマチの影響、夜悪化、ベッドの熱で悪化、発汗中の悪化、弱々しく病人のような顔つき。

●振戦麻痺
振戦麻痺のような、四肢(手足)の震えるような状態。非常な衰弱を伴う手の震え。下肢の麻痺とピクピクしたひきつりと、グイとつるような感じ、麻痺した部分の小刻みな震え、Arg-n.とPhos. Stram. SecaleとMerc.は麻痺した肢の筋肉のピクピクした引きつりがある。

太ももと生殖器の間のヒリヒリする痛み。足の潰瘍;膿瘍。(足の浮腫性水腫。冷や汗。寝ている間大量の汗。ベッドの中で快適な時、痛みと発汗が現れる。患者は寒気を感じるので、自分を覆おうとするが、温かくなると痛みは悪化する。

●発熱
Merc.は熱が多い。
非常にまれだが、しかし実際、突発性疾患(原因不明の疾患)、持続熱がある。持続熱だけでは非常に低いが、特に外科的な事による発熱は、最初は上がったり下がったりし、後に持続的になる。それは分泌の抑圧から来る熱のようである。
Merc.の患者は、寒気がまだ来ていない時でさえ、寒がる;温かい部屋でも空気の動きに敏感;すきま風に激しく敏感。
冷たい手足。汗は非常に多く悪臭がある。全体の症状は汗をかいている間悪化し、汗をかくほどに悪化する。非常に多くの汗をかき、また最も大きな苦しみや発汗にある。

Merc.は明らかな断続性がない。痙攣が起こって、次の痙攣が起こるまでの間、肝臓の障害、下痢、発熱がある。外科的な熱、胆汁性の発熱、子供における蠕虫による熱、上がったり下がったりする熱では、骨にひどいうずき、空気への非常な過敏さ、熱が上昇している時の夜間のベッドでの悪化、落ち着かない呼吸があり、土気色の皮膚である。

Bell.のように、熱はそこまで高くはならず、皮膚はそれほど熱くならない。重くなった舌と、胆汁性の熱はMerc.の後消失する。
肺病の最終ステージにおける消耗熱において、また消耗熱を伴う衰弱を起こす病気において、うずきや悪臭のある汗などがある癌において、Merc.は有効である。カタル性の熱、流行性感冒、風邪が胸まで達した時、またあらゆるところに大量の分泌がある時、Merc.は素晴らしい作用をする。弛張的に現れる擬似腸チフスにおいて、患者に黄疸があり、元気がなく、衰弱し、震え、筋肉の小刻みの震えとひどい疲弊と持続熱を伴う時、Merc.が適用となる。


●皮膚
多くの皮膚症状がある;ふけのような発疹、小水胞性の発疹、膿を分泌する発疹。
特に頭部における、熱く、ズキズキする小水胞で、皮膚を刺激するような分泌を伴う。まるでノミによるような、激しく、全身全てにある、皮膚のひどい痒みで、特に夜、ベッドで温まるとこの痒みがある。
梅毒患者のような銅の色をした発疹とまだらな粘膜。ふけのような発疹が特に顕著。潰瘍がある部分の皮膚と肉は骨を薄く覆う。悪臭のある湿疹の形成。ほとんどの発疹は大量の滲出を伴い湿っている。
帯状疱疹を治癒する。
皮膚は土色。
2つの部分が一緒になる所は常に皮膚がヒリヒリする。太ももの間、陰嚢と太ももの間の皮がむけてヒリヒリする。そのような場所における発疹。
口角や目の接合部の亀裂がある;会陰のヒリヒリする痛みと出血が歩行を困難にする。


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